眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「でも、怪我っていうのは、どうして」
「詳しくは知らねーけど。ダチはガラの悪い連中らしいし、あいつも俺らみたいに色々あんだろ。だから今日みたいに怪我してくること、たまにあんだよ」
「そ、っか」
「で、最上階で手当てしてたのは、あの部屋の掃除もあいつに任せてるからってだけ」
「、…」
あの部屋に入れる、私以外の女の子。
その存在に、胸はやっぱりチクリとするけど。
行き場のない人を放っておけない、御影さんらしい事情にとりあえずは安堵する。
「じゃあ小町さんとは、変な関係じゃなかったんですね」
よかった。
心底ホッとして出た言葉。
……のすぐあとに、妙な違和感を覚えた。
「……」
「御影さん?」
御影さんが、何も答えてくれなかったから。
いつもは真っ直ぐ向けてくれる青い目が、ふ、と逸らされたから。
「正直言うと」
「……?」
「一度だけ、抱いたことある。小町のこと」