眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「、…」




グラリ、目の前が歪んだ。


心がひび割れて砕かれるみたいに、一瞬で強い痛みと不快感に襲われた。




「いつ、…」

「みのりに会う前」



出会う前のことなんて、何も言えない。


出会ってからのことだとしても、彼女じゃない私に何かを言う権利はない。



わかってる。

頭では十分理解しているのに……


服を脱がせるところを見たせいか、いやに生々しい想像が頭に広がって。


思考がグラグラ揺れて、崖から崩れ落ちていくみたいな眩暈を感じる。



眩暈に耐えて立ち上がり、上着を羽織って鞄を持った。



「なにしてんだよ」

「、…今日は、銀くんのところに泊まります」

「は、なに言って、」

「ここに、いたくない、」

「だからってなんで銀なんだよ。あいつ男だぞ」

「リクくんもいるし、平気です」

「リクも男だろーが」


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