眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
5「もうひとつの熱」






「御影くんと喧嘩でもした?」



あのあと銀くんが迎えに来てくれて、私はホワイトターミナルに向かった。

今はエレベーターの中で、目的地である最上階へ上がっている最中だ。



「……喧嘩、なのかな」



チン、と到着した合図のあと、扉が開く。


銀くんは部屋には入れないから、ここでお別れ。……なんだけど。


私の足も、エレベーターから出ようとしない。



「みのりちゃん?」

「……」



さっきは頷いたけど、本当はあの部屋にだって行きたくない。

だって小町さんと関係をもったのは、きっとあの部屋だから。


そんなところに1人でいるのは、一層しんどくなりそうだ。



「……なるに、決まってる」

「え?」



だってここに立ってるだけで、またグラグラ視界が揺れて……



「みのりちゃん?」

「、、、……」



あ、れ……何これ。

気のせいじゃなくて、ほんとに眩暈が、



「、───みのりちゃんっ!」




ドサッ…


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