眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



朦朧(もうろう)とする意識の中で、(すが)るように手を伸ばして服を引き寄せる。


早く、早くって、

一秒でも早く御影さんに触れてほしい。



「……ダメだよ、みのりちゃん」

「、……やだ、してほしい」

「絶対、後悔するよ?」

「……しない、よ。……、ぐすっ……しない、もん。絶対、しない」



何も考えられないはずなのに、どこからか悲しみが押し寄せてきて涙が止まらなくなる。


こんなわがままを言ったら、また嫌われちゃうかもしれないのに。



それでも、私は……



「……キス、してほしい」

「、…」



拒んでいた御影さんの体から、ふぅっと力が抜けたのがわかった。



「……後悔するって、言われても」

「…、」

「こんなみのりちゃん前にしたら、さすがに拒めないよ」




ギシ…


ベッドが軋んで、御影さんが近づいてきたのがわかる。



「顔、熱いね」

「ん…」



手の平で頬を包まれて、その手がひんやりしていて気持ちいい。


心地よくて、自分の手を重ねてすぐ……



「みのりちゃん……」

「……んぅ、……」



優しいキスが、落とされた。


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