海の向こうで-番外編-



「えーっと」


私はごそごそとキッチンを漁って、適当に取り出した鍋をかるく水で洗う。前に炊かれたご飯がないかなと冷凍庫を見てみると、運のいいことに一人分くらいのごはんがラップでくるまれて冷凍されていた。私はそのご飯をレンジでチンして、そのご飯を鍋に突っ込む。

そしてそれと大体同じくらいの量の水をかけて、その上から蓋をかけた。たしか沸騰したら弱火にして煮込むんだっけ。そして20分くらいしたら塩を加えて…ってこんな感じでよかったんだっけ?試しに味見をしてみると、思ったより悪くはなかった。


「できた!」


私は慎重にほかほかと湯気をたてているお粥が入った鍋とスプーンや取り皿などが乗ったお盆を持って、彼の部屋に行った。


「海…?って寝てるか」


私は彼のベッドの近くにある机にそっとそれを置く。そしてそろりそろりと部屋を後にし、片付けをしにキッチンに向かった。しかし何かが足りない。そう思ってキッチンに戻ってからも考え続けていると、とあることを忘れていたと分かった。


「あ、」


今、思い出した。お粥に梅干し入れるの忘れちゃったじゃん。私は急いで冷蔵庫の中から梅干しが入った袋をひっつかみ、近くにあった菜箸も取ってまた海の部屋に直行した。


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