憂鬱な雨の日だから【完】
湯川くんが持っているのは大きい傘。
スペアがあるとはとても思えなかった。
「明日は大丈夫っしょ。……って、俺の勘だけど」
「ふふっ。なんか、湯川くんってもっと静かな人かと思ってた」
「ごめん、こんなヤツで」
「いいよいいよ。むしろ、今の湯川くんのがいいよ」
「そう言ってくれるなら何より。じゃ、俺この駅だから」
あ、もう湯川くんの最寄り駅なんだ。
会話のキリも良く、ドアが開くと湯川くんは軽く私に手を振り、電車を降りた。