憂鬱な雨の日だから【完】
私はブレザーのポケットに忍び込ませておいたお菓子を湯川くんに手渡した。
湯川くんに会ったらこっそり渡そうと思っていたもの。
「何コレ?」
湯川くんは私が渡した傘型のチョコレートを凝視する。
「それ、私のオススメのお菓子」
たまたま家にあって、傘と言えば……と思って持ってきたのだ。
「ありがと。早速昼食べるわ」
湯川くんはさんきゅ、と言ってジャージのポッケにお菓子を突っ込んだ。