憂鬱な雨の日だから【完】
それからというもの、私は湯川くんと話す機会が増えた。
今まではただのクラスメートの一員としか思っていなかったのに、徐々に、だ。
「ねえ。瑠雨(るう)って最近湯川と仲良くない?」
「えっ?」
それには友達の幸架(ゆきか)もさすがに気付いたようで、お昼を食べているときに小声で聞かれた。
「今まで挨拶とかしてたっけ?昨日今日気になって二人のこと目で追ってたんだけど、通りすがりに話したりしてるし」
「まあ、ひょんなことがありまして……ね?」
「えー?気になる言い方だなあ」
幸架は唇をすぼませる。
そう言えば、借りた傘家で乾かしたままだったと、朝湯川くんに会った時には忘れていたことを今更ながら思い出した。