離れていた時間


 そして、大きな茶封筒も箱の中に一つだけ入ってた。


 手に取った茶封筒の中を覗き見ると、古い写真がたくさんある。

 私は恐る恐る手でつかみ、茶封筒から静かに取り出して見つめた。


 ベッドの上で寝てる赤ちゃんと、すぐ横に立つ女の子。

 その子もベッドの手すりにつかまって、やっと立ってる印象。

 知らない女の人と、赤ちゃんと、女の子の写真。


 三枚目の写真には、知らない女の人と赤ちゃんと女の子。

 そして、若い頃の父の姿があった。



「これって……」



 小声で呟く私の胸が、ぎゅっと締め付けられる……



 ――その時、母の怒鳴り声が部屋の中に響いた。




「アンタ、見たのね!」





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