離れていた時間
心機一転、私には目標ができた。
それは、血の繋がった弟を探して会いに行くこと。
本当の母親は、すでに再婚してるので気まずい。
今まで一度も会ったことのない弟は、私の存在をどう思ってるのか気になってしまう。
育ての母親からは、了解をもらってるので気兼ねする必要はない。
アルバイトをしながらキャンパスライフを楽しみ、貯金をして弟を探し出す資金にできればいいな。
講義を終えて、大学を出た私の目の前に男子高校生が立ちふさがる。
短い髪に凛々しい瞳、カッコイイ細身のスタイルで、高校の制服がよく似合う男の子。
よく顔を見ると、なんとなく私にそっくりで驚いた。
私の目の前に立つ男子高校生は、潤んだ瞳と涙声で口を開く。
「姉ちゃん……」
どうやって調べたのか、血の繋がった弟が会いに来てくれた。
私たちは、人目を気にせず抱き合って涙を流してる。
制服姿の弟を、私は両手で強く抱きしめ頬を擦り寄せた。
初めて会った弟は、砂糖よりも甘くて心地好い香りがする……
私たち姉弟は周囲の視線を気にせず、涙を流しながら抱き合っていた。
離れていた時間を、取り戻すように……
~fin~