今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
廊下を歩いていたら、洗面所から千桜がいきなり飛び出してきてぶつかりそうになった。


「わっ」


「ごめん」


「なんだ、チー起きてたのか?」


我ながら情けないけど、ぎこちない笑顔しかできない。


「うん、もう高校生だからちゃんと自分で起きれるよ。さっ、朝ご飯食べようかな。
今日は何かなー、楽しみ楽しみ」


俺と目を合わせないでニコニコ笑いながら凄い勢いで話しだした千桜。


いつもだったら髪をとかすのは俺の仕事なのに今朝はちゃんと自分でやっている。


制服のリボンも自分で結んでるし。


千桜の世話をやくのは俺の生きがいなのに。


朝一番の楽しみが奪われて、かなり寂しい。


これって、俺には触られたくないってことかな。


一晩でこんなに変わるのか。


「ランランラン」


鼻歌を歌いスキップなんてしながらリビングに向かう彼女。


けど、明らかにテンションが変なんだが。

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