今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
しかも、手と足の動かし方がぎこちなさすぎる。


食卓についてからも、わざとらしい明るさのまま。


「うわおっ、美味しい。このスクランブルエッグ」


「チー、パンはイチコジャムでいい?」


彼女は顔は笑っているけど、話しかけても目を合わせてくれない。


「ううん、私自分で塗るから大丈夫だよっ」


「チー、ココアでいい?」


「あっ、今朝はいらない」


「……そう」


なんにもやらせてもらえない。


そうか、そうきたか……。


てっきり怒って無視でもしてくるのかと思ってたけど、どうやら違うみたいだ。


おそらく、何事もなかったような顔をしようとしてるんだろうな。


昨日のことを無かったことにしたいのかもしれない。


だけど、それは困る。


せっかく、意識させることに成功したんだから。この機会を逃したくない。


「ケホッ、ウッ」
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