今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
その時、千桜が食べものを喉に詰まらせたのか苦しそうにむせてしまった。


いつもゆっくり食べる彼女が、今朝は急いで口の中へかきこんでいるからだ。


「大丈夫?」


慌てて立ち上がり彼女の背中をさする。


「キャッ」


だけど、彼女はビクッと肩を震わせて不安そうにこちらを見上げる。


この時、ようやく目があった。


やたらと赤い顔、不安そうに揺れる瞳。


ああ……こんな表情も可愛いな。


俺はキミが世界一、愛おしいと思う。


毎日、甘やかして優しくしてあげたいし笑顔にしてあげたいと心から思う。


だけど今日の俺はいつもの優しい兄貴ではいてあげられない。


たとえどんな手を使っても君の本音をひきだしたい。


「いきなり触ってごめん」


「……うん」


ビクつきながらもぎこちなく笑おうとする彼女。


「はい、これ飲んで」


水を飲ませて落ちつかせようとした。


「これ使って」


ティッシュを持ってきて、彼女に渡す。


「……」


「大丈夫だよ、ゆっくり食べな」


コクッとうなずく千桜。
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