今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「ゆっくりでいいから」


「うん」


千桜が少し落ちつくのを待ってから、再び口を開いた。


「あのさチー、昨日はごめんな」


「……」


「もし昨日みたいなことが嫌なら、もう俺には近づかない方がいいよ」


ごめんな、チー。


もう二度としないから安心してって言ってあげられないんだ。


「……」


「チー何か言って?怒ってるなら殴ってもいいよ」


こんな言い方、ズルいよな。


絶対そんなことしないだろうなってわかってるくせに。


俺は彼女のことなら、よくわかっているつもりだ。


喧嘩した時は必ず俺の方から謝ることにしている。


そしたら、素直な彼女は心を開いてくれることもちゃんとわかってる。


「俺のこと嫌いになった?もしそうならチーの視界に入らないように気をつけるよ」


「……」


視線を落として寂しそうに息を吐く。

< 105 / 443 >

この作品をシェア

pagetop