今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「嫌いになってない?」


「う、うん。だからこれまで通りにお兄ちゃんと妹として」


彼女は控えめに笑ってこちらを見上げる。


「今まで通りって?それは無理」


だけど、俺は真剣な顔で突き放すようにそう言った。


「で、でも」


「無理だから、俺はもう」


彼女の可愛い頬にそっと触れると、ビクッと震えた。


「あっ」


途端に恥ずかしそうに瞳を泳がせる彼女。


俺はその反応に満足して口角を上げた。


「チー、ほら遅刻しちゃうよ。食べよっか」


ニッコリ笑って食事を続けるように促した。


「う、うん」


困惑したような顔で座り直して、今度はゆっくり食パンを食べだした。


だけど、彼女は小動物みたいにチラチラこちらをうかがっては目が合うと恥ずかしそうにそらせる。
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