今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
ようやく唇を離した彼に早速抗議した。
「もう、翔くんたらふざけすぎだよ」
「なんだよ、チーが間違えるからだろ。今度からは気をつけろよ」
兄はあっけらかんとしている。
こんなことなんでもないって思っているのかな。
きっと冗談のつもりなんだろうけど、朝からビックリしちゃったよ。
どうして兄がこんなことをするかというと。
実は昨夜、彼にある約束をさせられたんだ。
昨夜遅く、彼は突然こんな提案をしてきた。
『もうチーも高校生になったことだし、お兄ちゃんって呼ぶのはやめないか?』
『どうして?』
ベッドで横になりながら2人でひとつの雑誌を読んでいたところだった。
モノトーンを基調とした落ち着いた雰囲気の兄の部屋には、私のピンク色のクッションや私専用の小物類が置きっぱなしになっていた。
しょっちゅう兄の部屋に入り浸っているからだ。
机の上には小さい頃に兄と2人で撮ってもらった写真が飾られている。
身体の大きな兄のベッドはキングサイズで広々しているからいつもそこでゴロゴロするのが落ちつくんだ。
それは子どもの頃からのルーティン。