今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

「坊ちゃん、今日は愛華さまも一緒に登校したいとおっしゃるのでお連れしております」


「え、そう……でも愛華は別の車があるんじゃ？」


「はいですが、お兄様と一緒にどうしても登校したいとおっしゃって」


「また愛華のわがままですか？矢代さんも大変ですね」


兄は呆れたようにフッとため息をついた。


「いえ、私は仕事ですから。
坊ちゃんのほうこそ本当に女性におモテになるので大変でございましょう」


「は？」


ふいうちのようにそう言われて兄は慌てだす。


「ちょ、余計なことは言わなくていいですから……」


兄は私の方をチラッと見てバツが悪そうな顔をした。


「いえ、私は嬉しいのです。坊ちゃんは本当にお美しくお育ちになって。
誰もが振り返るくらいの魅力をお持ちですから。それでこそ、伊集院家の跡取りにふさわしく……」