今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「お兄ちゃーん、早く車に乗ろっ」


「ああ、うん」


気遣うようにこちらをチラッと見る兄。


「私今日は電車で行くから大丈夫だよ」


今朝は車に乗るのを断った。


だって、彼女と一緒は遠慮したい。


車内で何を話したらいいかわからないし。


それに、これ以上翔くんに甘える彼女を見ていたくないんだ。


だってそれはつい昨日までの自分を見るみたいで嫌だったから。


私はもうあんな風に無邪気に彼に甘えられない。


だって私、翔くんのことを純粋にお兄ちゃんだって思えなくなっていて。


ちょっぴり警戒してしまってるから。


「それなら俺もチーと一緒に電車で行くよ」


「え、でも……」


二人きりになるのは気まずいって思ってたくせに。


彼が躊躇することなく私を選んでくれたのがちょっと嬉しい。


こんなことを思うのってズルいのかもしれないけど。
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