今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
うっとりと指を組み合わせながら話し出す彼女を呆然と見つめる。


「あんな人がいるなんて奇跡だと思ったわ」


「はあ、そうですか……」


まあ、わからないでもないけど。
それについては彼女とちょっと同感。


翔くんほど完璧な王子様みたいな人ってなかなかいないから。


彼に初めて会ってボッーとなっちゃう女の子って結構いるんだ。


「愛華だけのお兄ちゃんだと思っていたら、あなたみたいな人がいるんだもんガッカリだよ」


「……」


いや、それこっちのセリフですから。


うーん……。


ここまではっきりと不満を言われるなんてびっくりしていた。


つまり、ストレートに喧嘩を売られているのかな。


「わ、私だって翔くんの妹は世界に私だけだと思ってましたけど」


言いたい放題言われているうちにさすがに腹が立ってきた。このくらい言い返してもいいよね。
< 123 / 443 >

この作品をシェア

pagetop