今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「私たち10年間家族として暮らしてきましたから」


この10年間の彼との絆は、私が唯一自信を持って言えるもの。


兄は私のことを誰よりも大切にしてくれているもん。


後から義妹になった愛華さんには多分負けない。


「ズルいわよそんなの」


「そ、そっちこそ。一方的すぎると思いますけど」


「お兄ちゃんと過ごした時間はまだ短いけど、私の方が釣り合いがとれてるわよ。あなたより」


「釣り合いとかわからないけど、でも私の方がお兄ちゃんのことをよくわかってるよ」


結局最後はムキになってきてしまった。


積み上げてきた時間。


目の前の彼女に自信を持って言えるのがこれしか無いのは確かに辛いけど。


見た目のことを言われても、彼女ほど堂々と私の方が勝ってるなんて言えないし。


英語もフランス語も話せない。


「ほんとに彼のことをわかってるの?」


「わかってるよ。翔くんのことならなんだってわかるもん」
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