今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
もっと大胆なことも平気でしちゃっていた気もするし。


わーん、あれもこれも、恥ずかしいことだらけ。


だけどそれは翔くんのことを兄としてしか見ていなかったからだ。


仕方ないよね、意識してなかったんだもん。


でも今はちょっとだけ違う。


あんな目で見つめられたらどうしたらいいかわからないよ。


そろそろ兄も学校から帰ってきている頃だろうな。


隣の彼の部屋にいるんだろうか。


本当はいつもみたいに話したいけど。


彼のベッドでゴロゴロしながらおしゃべりしていたのがもうずっと昔のことみたい。


隣で同じように寝転がる兄と他愛もない話をして笑いあった。


時にはじゃれあったりもして。


あの頃は、楽しかったなぁ。


でも、もうあんな風には振る舞えないよ。


コンコン。


その時ドアをノックする音がして飛び上がりそうなくらいビックリした。


「チー、いる?」


兄の声だ。
< 130 / 443 >

この作品をシェア

pagetop