今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

「うん」


「……」


彼がじっと見つめてくるので恥ずかしくてなにかしゃべらなきゃって焦った。


「あ、えと、いつもごめんね。翔くんばっかりに作ってもらってて」


「いやそんなの全然かまわないよ。今日はチーの好きなハンバーグを入れておいたから」


「わっほんとに？嬉しいな」


ニコッと笑ったら彼も瞳を細めて優しく見つめ返してくれた。


よかった、今朝は目も合わせられなくて困ったけど今はなんとなくいい感じで普通に話せてる。


人前ではさすがにいつものお兄ちゃんだったから、ホッと安堵した。


やっぱり兄とはギクシャクしたくないから。


「チー、昨日のことなんだけど」


背の高い彼は少しかがんで周りに聞こえないように小さく話し出す。


「エッ、ああ、うん」


2人だけの秘密みたいで、たちまち胸がドキッと跳ねた。


「ゆっくりでいいから、よく考えて結論を出して」