今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
頭に血が上っていたから彼にまで反論してしまった。


しかも小さい子供が駄々をこねるようにつづけてこんなことまで口走っていた。


「愛華さんに触らさせないで。仲良くしないで、お弁当もつくったらダメ」


「チー、愛華だって俺の妹なんだ」


眉をよせて私を辛そうに見つめる兄。


「やだっ、翔くんの妹は私だけ」


首を横に振って叫んでいた。


「そんなわがまま言うなよ」


「わがままじゃないよ。ど……して、わかってくれないの?」


こんなに胸が苦しいのにどうして助けてくれないの?


こんな嫌な気持ちでドロドロなのに。


「……」


あたりがザワザワしてて騒がしい。


ようやくそこでハッと我に返った。


「あっ」


見れば何十人も集まってきた生徒たちが私達を取り囲むようにして見物している。


ニヤニヤしながら面白そうに見られていた。
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