今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
彼女を連れてきたのは生徒会役員室。


生徒会メンバーなので、たまたま鍵を持っていたからちょうどよかった。


彼女は一瞬ためらってから言われた通りおずおずと中へ入った。


ここならほとんど誰も訪れることはないからゆっくりできる。


ひとまずここに彼女を避難させよう。


「チーさっきは大変だったな」


「うん」


「……」


「……」


彼女はうつむいて黙ってしまった。


さっきのことを気にしているのかもしれないな。


「チーいやな思いさせてごめんな。
愛華には俺からよく言って聞かせるから」


「翔くん怒ってないの?」


「どうして?」


「だってあんな恥ずかしいことしちゃったんだよ私。絶対変な噂になっちゃう。
翔くんは生徒会長なのに、私のせいで変な風に言われちゃったら嫌だよ」


今にも泣きだしそうな声。


俺のことを気にしてくれているみたいだ。


「なんだそんなことか」


「そんなことって」
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