今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「別に、俺はなんて言われても構わないよ。とっくに重度のシスコン兄貴って烙印押されてるから」


軽い調子で言って彼女の頭をいつものように撫でた。


ふんわりと柔らかい髪の毛は走ったせいか少し乱れていたから手で軽く整えてやった。


千桜は落ち込んでいるのか猫背になっているから優しく背中をさすってやる。


べつにいやらしい意図があったわけじゃないけど、彼女が嫌がる素振りを見せなかったからホッとした。


兄としては信頼されているってとこかな。


ここは、彼女に変な警戒心を持たせないように慎重にしなくては。


昨日みたいに暴走するなよ、俺の理性。


そう思った次の瞬間、彼女の方から俺の胸に飛び込んできた。


「え……ど、どうした?」


明らかに動揺して思わず両手を上に挙げてしまった。


どうすりゃいいんだ。この場合の俺の次の行動は何が正解なんだろう?


とりあえず彼女の背中を抱きたい衝動はなんとか抑えた。
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