今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

このままだと完全にキレてる兄に何をされるかわからない。


なんてタイミングが悪いの。


もともと機嫌が悪いところに西原くんがきてしまったから手がつけられないよ。


あれだけ怒らせてしまったのは私なんだけど、大変だっ。


兄が玄関に来るよりも前に急いでドアを開けたら西原くんが青い顔をして呆然と立ち尽くしている。


逃げればいいのに、律儀に待っているようだ。


「ごめん、西原くん」


「い、いや。俺、来たらまずかったかな」


「うん、すっごくまずいかも。でも気にしなくていいよ、行こう」


一刻も早くここから逃げないと。


今のうちに兄のことは無視して出かけようとした。


「大丈夫？」


「うん早く行こう」


「でも、待ってろと言われたし」


なぜか兄を待とうとする西原くんの腕をグイッと引っ張った。


「ほうっておいていいよ。さ、早く」