今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
兄はそう言って私の身体を軽く横に押しのけて、西原くんの前に立った。


「へえ君が西原くんか」


兄は値踏みするように西原くんを上から下までジィッと凝視する。


「は、はい。ええっと」


その迫力に押されて西原くんは青ざめている。


「ふうん、イケメンだなぁ」


全然感情がこもっていない声だ。


「そんなに俺に似てるかな?よくわからないな」


「は、はあ」


「ちょっとこっちきて」


兄は無理やり彼の肩に腕をかけて少し離れたところに連れて行く。


「ちょっとやめてったら」


「話すだけだから」


「瀬戸さん俺は平気だから」


でも声が震えてるよ西原くん。


仕方がなく二人の背中を見守っていたら確かに話しているだけみたいだけど。


兄が質問してそれに西原くんがおずおずと答えている様子。
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