今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
サラッと聞き流してくれてもいいんだけどな。


「……」


彼はしばらく黙っていて何か考えをめぐらせていたようだった。


そして、しばらくしてから穏やかな声で話し始めた。


「そうだな、俺の場合は好きかもしれないって思う人は」


「え?」


「すぐそばにいなくても今どうしてるかなってやたらと気になったり、その人の顔を見たら他の誰とも違う特別な存在だって感じるかな」


「特別な存在?」


「あ……うんまあ、当たり前だよねそんなの。好きだったら。
でもそういう気持ちって自分でもコントロールできないから厄介なんだろうな」


照れ臭そうに自分の顔に手をやる。


西原くんは自分の恋愛観みたいなものを打ち明けてくれた。


「でも、もしも悩んでいるんだったら相手にもそういう気持ちを話した方がいいと思うよ。
一人で悪い方にばかり考えるのなんて絶対人生損してるとおもう」
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