今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
ワンコ系男子っていうか、草食系男子っていうか。


「うん」


歌ちゃんもまんざらでもなさそうな顔をしている。


「もんじゃ焼きなんて初めて、楽しみ」


「歌さん、絶対気にいると思うよ」


「焼き方わかるかなー」


「俺が教えてあげるから」


歌ちゃんは初めて食べるもんじゃ焼きに心を躍らせているみたい。


うん、なんだかいい雰囲気。


それに石野くんの歌ちゃんを見つめる眼差しがもう本当に優しくてほっこりしてしまう。


「あ、石野くん」


咄嗟に彼に声をかけた。


「歌ちゃんをよろしくね。遅くなったら家まで送ってあげてね」


「うん、もちろん」


嬉しそうにフニャっと笑う石野くん。


「石野ほらいくよ、千桜じゃあまた明日ね」


「うん」


歌ちゃんは石野くんの袖をクイクイ引っ張る。


ええっ、歌ちゃんったらそんな可愛いしぐさしちゃうんだ。
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