今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
普段は明るくしていてもふいに寂しさに襲われるみたいで、可哀そうだった。


「チー、お兄ちゃんがいるよ。ずっと一緒だから」


「うん」


そう言ってやると安心したように眠ったっけ。


千桜はその小さな体に寂しい思いをいっぱい貯めこんできているんだと思った。


俺が少しでも彼女の支えになってあげられたらいいな。


いつしか彼女を絶対守ってあげたいと思うようになった。


それが恋心に代わるのに時間はかからなかった。


千桜はこの年になっても頼りないところがある。


特に男に対してまるで警戒心が無いものだから、心配でたまらない。


俺の鬱々とした気持ちも知るよしもないくらいまだまだお子ちゃまだ。


この10年間、出来る限り本当の気持ちを押し殺してずっと彼女の良き兄でいようと努力してきた。


だけど、これからは。
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