今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
けどそれ以上に彼女の心を傷つけるんじゃないかって。正直に言えばそれが一番こわい。



普段から彼女の方からしょっちゅうくっついてくるし懐かれている自覚はあるけど。


それはあくまで兄としてだってことは充分わかってる。


「キャハッ、くすぐったーい」


足の親指から順番にまわしてほぐしてやっていたら彼女が身体をよじって艶っぽい声をだした。


「やっ、くすぐったいから。ひぁ……」


身もだえするように手と足をジタバタするから、心穏やかにはいられない。


胸の奥がドッドッとせわしなく暴れる。


「んー、でも気持ちいいっ」


「……っ」


そのしぐさも表情も愛おしすぎて頭が変になりそうだ。


身体中の血液が熱くなるのを感じた。


チー、朝から俺を殺す気かよ。勘弁してくれ。


「翔くん、ありがとう。だいぶ目が覚めたよ」

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