今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「そうか」


彼女はそう言って足を引っ込めた。


「ねえねえ、それじゃあ今度は私がマッサージしてあげるね」


何か企んでいるみたいに口角を上げる彼女。


「俺はいいよ」


おおよその見当がつくので断った。


だけど彼女はしつこくやってあげるって言ってきかない。


「いいから、やらせて」


「どうせ、チーのやることくらいわかるから」


「やだやだ、やるのー」


駄々をこねるように首を振り、こちらへ手を伸ばしてくる。


その顔が必死過ぎて可愛くておかしい。


あーもう仕方が無いな。


チーがわがままを言うのは俺に対してだけ。


俺になら何でも言えるくらいに普段から甘やかしているからだ。


「わかったよ、じゃあほらおいで」


「ほんとに?わぁい、お兄ちゃん大好き」


大好きなんて、軽く言ってくれるよな。
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