今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
経済学や経営学等その他にも語学や音楽等の一通りの教養を身につけておかないといけない。


伊集院家のような資産家の跡取りとなるべき勉強は俺の年齢で始めるのは少し遅いくらいだ。


上流階級の付き合いもこれから少しづつ始めないといけないらしい。


子供の頃にここで暮らしていたとは思えないほど、この邸にいると違和感だらけで落ち着かない。


部屋数が数え切れないほどあるし、なんのための部屋なのか全部は把握できない。


いつ来てもお客さんみたいな気分になる。


ここの使用人の人たちに御曹司としてかしづかれることもちょっと苦手だ。


両親が離婚してから、この邸には1か月に数回訪れるだけだったし俺はすっかり瀬戸の家の子になっていたから。


坊ちゃんとして誰かにあれこれやってもらうよりも可愛い妹の世話をやいてやれるあの暮らしが俺には一番似合っている。


だけどそうとばかりも言ってられない。


伊集院の父の跡を継ぐことを俺は正式に決めつつあったから。
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