今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
伊集院のお父さんの会社を継ぐってことはあっちの人間になっちゃうってことだって、どうしてその可能性を考えなかったんだろう。


翔くんはそのことについて私にはあまり多くは語らない。


彼のことだから将来のことをしっかり考えているんだろうけど、私には言ってもわからないって思っているのかな。


それとも、関係ないって思われてる?


「でもそんなはずないよ。私になんの相談も無しにそんな大事なことを決めるわけない」


私と彼の間には一筋の光のような絆がある。
私は彼のただの妹なんかじゃないんだから。


「どうしてそんなこと言い切れるの?」


「だって……」


「なによ?」


喧嘩腰の愛華さんにひるみそうになったけど、なんとかこらえて夢中で反論した。


「私達付き合ってるんだから。翔くんが私のことを置いて行っちゃうわけない」


愛華さんに対して言ったつもりじゃなくて自分自身を励まそうとしたのかもしれない。

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