今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
私ってこんなにめんどくさい奴だったなんて初めて知った。


「え、泣いてるのか?どうして?」


翔くんは電話の向こうの愛華さんに驚いているみたい。


えっ、どういうこと?泣いてるって?


さっきの愛華さんの顔が浮かんだ。


そんなにショックだったんだ。


よっぽど兄のことが好きなんだろうか。


思わず彼の腕をそっと掴んで、近寄った。


「おいおい、泣いてばっかじゃわからないよ。落ちつけよ」


彼は困ったように眉を寄せる。


どうやら愛華さんは泣きながら喋っているから何を言ってるのかわからない状態みたい。


かなり興奮してるのかもしれない。


「え、今から?そっちへ行けばいいのか?」


「だっ、だめっ」


黙って聞いてたけど、我慢出来なくて小さく叫んでしまった。


泣いてる女の子のところに彼を行かせたくない。
< 268 / 443 >

この作品をシェア

pagetop