今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
また彼にばかり釘付けになっていたから、前から来た人にぶつかりそうになっていたみたい。


「ほらまた、ちゃんと周りにも気を付けろよ」


「うん」


「フラフラして危なっかしいな」


「だって、胸がドキドキして落ち着かないんだもん。全部翔くんのせいだよ」


「……」


彼の頬がうっすらと赤らんだような気がした。


ぎゅっと手を繋ぐ力が強くなる。


「それなら仕方ないか」


「うん」


お互いに顔を見合わせてちょっと笑った。


「私たちバカップルみたい」


「そうだな、かなり」


彼は苦笑して照れくさそうにそう言った。


「屋上へ行こうか」


「何かあるの?」


「見てのお楽しみ」


彼の瞳がいたずらっぽく輝く。


ん?なんだろう。


もしかしたら、何かのサプライズかな。


そう思って、手を引かれるままに彼について行った。
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