今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「うん、これまでいくら探してもなかなか見つけられなくて。
どうしてわかったかっていうと、あっ、あれだ、行こう」


そう言うと私の手を引いて駆け出した。


隅っこの方に行ってみると『ふれあいミニミニ動物園』と書かれた看板がある。


小さい門をくぐると、小型犬や、うさぎがそれぞれの仕切りの中にいて子供達が触れ合ったり餌をあげたりしている。


「うわー、モフちゃんがいっぱい。可愛い」


「モフちゃん?」


「うん、ママとそう呼んでた」


この場所が大好きで、時間を忘れて遊んだっけ。


『千桜、もうあと少ししたら帰ろうね』


『まだイヤー、この後にポンちゃんも見たいもん』


『またー?ポンちゃんのとこに行くとなかなか帰れなくなるでしょ。パパがおうちで待ってるのに』


『パパはいいのー、待っててもらうの』


『えー、パパ泣いちゃうよ』


ふいに、こんな母とのやりとりが浮かんできた。

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