今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
穏やかでのんびりした優しい口調。


身体が小さくて少女のようなフワッとした可愛らしい人だった。


私は顔立ちや性格が母によく似ていると親戚から言われていた。


まるですぐそばに母がいるような気がして、懐かしさで胸がいっぱいになった。


「ほらそこのお土産売り場にたくさんポンちゃんがいるだろ」


彼が指さした店先にはいろんなぬいぐるみが並べられていて、よく見ると私の持っているレッサーパンダのぬいぐるみと同じものがあった。


「ほんとだ、ポンちゃんがたくさんいるね」


こんな小さな手がかりだけで、彼はここを探しあててくれたんだろうか。


ふいにあることを思い出して彼にこう言った。


「そうだ、向こうにもポンちゃんがいるんだよ」


さらに奥の方に走りだしていた。


屋上の一番端っこ、そこにはレッサーパンダがいるはず。


まだいるかな、いたらいいな。

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