今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
ポツッと小さく呟く。
辛そうな顔をしている彼の方がよっぽど心配になってきちゃうよ。
「子供の頃とは違うよ」
「チーは出会ったばかりの頃、お母さんのことを夢に見てよく泣きながら寝てたから」
「それなら今夜は以前みたいに一緒に寝てくれる?」
「……それは、ちょっと」
彼が、困った顔をするからおかしかった。
「昔は抱っこして寝てくれたのに」
わざと、いたずらっぽい顔で不満そうにこぼした。
「今は抱っこだけじゃすまなくなりそうだから」
「いいのに」
「わかってないな」
彼は小さくため息をこぼす。
「わかってるもん」
ほんとのところは詳しく知らないけど、ついついムキになって返していた。
「だけど今夜はチーが寝るまでそばにいるよ、絵本でも読んであげる」
「あー、また子供扱いするんだから」
彼の肩のあたりをトンッて叩いて抗議したらその手をつかまれた。