今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
そろそろ観覧車は頂上付近に達していた。


彼と見つめあうと、胸がうずいて一瞬でときめいた。


「チー、好きだよ」


「私も」


「俺をチーのそばに、ずっといさせて」


「うん、ずっといてね」


慰めるような優しいキスをされて身体中が幸せで満たされていく。


ここは母との大切な思い出の場所でもあるけれど、今日からは彼と私の初デートの思い出もプラスされる。


たとえ遊園地がなくなっても、大切な人からたくさんの幸せをもらった瞬間をちゃんと覚えておこうと思った。



それからショッピングをするためにエレベーターで水着売場のある3階まで下りてきた。
 

夏合宿の時に海で着る水着を探しにきたんだ。


翔くんが選ぶのは案の定おとなしめな水着ばかりだったので結局自分で選ぶことにした。
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