今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
千桜がまた飛びついて来ようとしたので軽くよけてソファから立ち上がった。
「ほら早く準備しよう、遅刻するぞ。先に下に降りてるからな」
笑顔でそう言って部屋を出て行った。
ドアを閉めてフウッって息を吐く。
駄目だな、俺。
千桜にあんな顔させてどうするんだ。
さっきので上手くごまかせただろうか。
しかし、押し倒すなんてもう本当に限界なんだろうな。
兄妹を演じ続けることが……。
ぐっと胸の奥が重苦しくなった。
やっぱ、キツいな。
このままだと今度また何をするかわからない。
自分の理性にまったく自信がない。
大切な彼女を傷つけるようなことは絶対にしたくないんだ。
もっとスムーズに慎重にことを進めていきたい。
そのためにこれからは名前で呼んで欲しいって昨夜頼んだらすんなり受け入れてくれた。
兄妹っていう2人の関係からもう一歩すすめたかったから。