今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。



食べ終わると、何を買うでもなくブラブラと雑貨や服を見てまわった。


「これ、チーに似合いそう。買ってあげる」


彼はマネキンに着せられている白地のワンピースを指差してニコニコしている。


いかにも清純系の女の子に似合いそう。


彼の中の私のイメージってこんななのかな。


ちょっと良すぎるんじゃないかな。


「いいよ。この前も買ってもらったばかりだし」


「じゃあ、こっちは?」 


「お小遣いを全部私に使っちゃダメだって」


彼が今すぐレジに会計をしにいこうとするから、慌てて断る。


翔くんと買い物に来ると、いつもこんな感じ。


いつだって自分のものは何も買わないで私にばかり買ってくれようとする。


私の喜ぶ顔が見たいからって言うんだけど。


「翔くんは欲しいものは無いの?」


「特にない。要らないって言ってるのに矢代さんが服とか鞄とかいろいろ持ってくるんだ。
クローゼットがいっぱいではいりきらなくて困ってるくらいだから」


確かに、矢代さんがしょっちゅう翔くんに贈り物を持ってきているのは知ってる。


伊集院の父親からの気持ちだから結局は断り切れないみたい。
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