今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
それはバックリボンでつばが広い麦わら帽子。


確かに海での日焼け対策としてちょうどいいかも。


私って日焼けするとすぐに肌が赤くなっちゃってヒリヒリ痛くなってしまう。


翔くんはそれをよくわかってて心配してくれているみたい。


「試着させてもらおう」


彼はそう言って私の手を引いてお店の中に入っていく。


お洒落な店内にはたくさんの種類の帽子があって目移りする。


「やっぱりチーによく似合う。あ、でもこっちもいいかな」


楽しそうに私の帽子を選んでは頭にかぶせてくれた。


「うん、これも似合う。可愛いから何でも似合うんだよな」


瞳を輝かせてそんなことを言う彼。相変わらずの兄バカなんだ。


「ちょっと、翔くんたら恥ずかしいってば」


「だってホントのことだから」


ニコッと笑って、見惚れるように私を見つめるから照れてしまう。


「チーは丸顔だから帽子が良く似合うよ」


「ええっ、そんなに丸い?気にしてるのにひどいー」

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