今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

秘密があらわれる時

ショッピングモールを出て家路に着く頃にはあたりはすっかり暗くなっていた。


通勤客で混み合っている電車の中でもずっと手を繋いでいた。


やっぱりデートなんだなって改めて実感して心が弾んだ。


彼もきっと私と同じ気持ちでいてくれてるはず。


ほどなくして自宅の最寄り駅に着いたので、もうそろそろ手を離さないといけなかった。


でも、もう少し繋いでいたいな。


チラッと彼の方を見たら、すぐに気がついて柔らかく笑ってくれた。


見慣れているはずの私でもドキドキしてしまうくらい綺麗な笑顔。


「チー、今日楽しかった?」


「うん、楽しかった」


「よかった」


「ウフフ、デートが終わっても一緒の家に帰れるから嬉しいな」


普通のカップルならデートの余韻を残してそれぞれの家に帰って行かないといけない。だけど、私達はまだ離れないでいられる。


兄と妹であることの不自由さを一瞬忘れて幸せに浸った。

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