今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
それなのに、私は子供の頃に父に言われたことを思いだして動揺していた。


『千桜、お兄ちゃんのことをそんな風に想ったらいけないよ。
私たちは家族なんだから。
その気持ちはみんなを悲しませてしまうからね。
家族がみんなバラバラになったらお父さん嫌だよ』


『兄妹は結婚なんて出来ない運命だからね』


あの時は運命だなんて、大袈裟な言い方をされてびっくりしたんだ。


それに家族がバラバラになるなんて絶対に嫌だって思った。


きっと父の考えは今も変わらないんだろうな。


そう思ったら目の前が暗くなるような思いがした。

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