今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
こんな時でも彼は私を愛おしそうに見つめてくれた。


「チーは俺のこと好き?」


「うん、好き」


「両思いだから付き合ってる。兄妹だからとか関係ない。ごく自然なことだろ?」


「でも……お父さんが」


「大丈夫だよ、みんなが納得してくれる道を探してみるから。チーはなにも心配しなくていい」


「そんなことが出来るのかな……」


「出来るよ、約束する」


気持ちはうれしいけど、そんなことが容易に出来るわけない。


「翔くん」


半信半疑の私を説得するように彼は力強くこう言った。


「運命なんて俺が変えてやる」


彼の手をぎゅっと握り返した。もうそれ以上何も言えなかった。


私が少しでも泣きそうな顔をしたら彼は必ず慰めてくれる。


私が心からお願いしたら、彼は一生懸命それに応えようとしてくれる。


オニイチャンだから。


私はそんな彼にいつもいつも甘えてばかり。


さっきのことで、彼は私を責めなかった。


その上私を傷つけないように我慢をしてくれている。

< 313 / 443 >

この作品をシェア

pagetop