今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
♡Love ♾ 10
いつもと違う夏休み
「瀬戸さん、俺とデートしよ」
スマホの向こう側から西原くんの明るく軽い声が響いた。
「えっ、なんで?西原くんと私がデートしなきゃいけないの?」
私はクーラーのかかった自分の部屋のベッドで寝転びながら通話していた。
「いつも家にばかり閉じこもってたらダメだよ。たまには外で発散しないと」
「でもデートはちょっと……」
あれからすぐに夏休みに入ったんだけど、私は何をする気にもなれなくて部屋に閉じこもり気味なんだ。
「付き合ってる人でもいるの?」
「えっ、それは……」
実はお兄ちゃんと付き合っています、なんてとても言えない。
つい先日、私がうっかり口を滑らせたばかりに大変なことになったんだから。
いくら友達でも内緒にしておかないといけない。
同じ失敗は絶対に繰り返したくない。
「いないけど、でも」