今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「じゃあ、デートじゃなくていいからちょっとだけ顔を見に瀬戸さんの家に行ってもいい?」


「それは……もっとダメ」


家に来られて翔くんと鉢合わせでもしたら大変だ。


確かに、最近の兄は家にいないことが多いけど万が一ってこともある。


彼にこれ以上心配をかけたくないもん。


「ごめん、もう電話切るね」


「わかったよ、明日も電話するから考えておいて」


「……」


西原くんとの電話を切った後、フウッと一息ついてスマホを見つめた。


翔くんと二人で写った待ち受け画面の写真は念のため変えてある。


ふと彼の声が聞きたくなって電話をかけてみた。


何回か呼び出し音が鳴るけれど全然出てくれない。


ちょっとがっかりしたけど、最近ではいつものことなんだ。


「忙しそう……」


あの日、両親に私と兄が付き合っていることが薄々ばれてしまったような気がする。
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