今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「えー別にいいじゃん」


彼は不満そうに唇を尖らせる。


「ブラコンだってまた言われちゃうから」


「そんなの気にすんな」


「それに……」


「んー?」


鏡に映った兄をじいっと見つめた。


最近また背が伸びて大人っぽい色気が増したような。


見慣れていてもたまにハッとする。


翔くんみたいなイケメンの先輩が1年生の教室にしょっちゅう来ているとクラスメイトの女子達が色めきたっちゃうんだ。


ちなみに彼はこの春から生徒会の会長になったこともあり、校内ではかなり有名人。


この間なんて告白しようかなってコソコソ話してるのを聞いちゃったし。


身内のそういうのって聞くだけで微妙。


もしも兄が私のクラスメイトと付き合うことになったら……なんかやだ。


「でも、やっぱりあんまり来ないでね」


過保護だって思われたら恥ずかしいもん。


それには答えずに彼は爽やかに笑う。

< 32 / 443 >

この作品をシェア

pagetop