今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「ん……あれ、チーどうした?」
彼は眠そうに瞼をこすりながら、上体を起こす。
大きな声を出したから、ようやく起きてくれたみたい。
「お兄ちゃん、さっきのはホント?」
「今俺なにか言ってたのか?」
首の後ろに手を当てて目を見開く彼。
私のただならぬ様子に驚いてる。
「確かさっきまで矢代さんといてそれで……」
「うちを出てくの?どうして?」
「俺、そんなこと言ってたのか……」
どうやら、さっき自分が言ったことを覚えていないみたいで戸惑っている様子。
「そうだよ、ねえどうして?」
翔くんと離れ離れになるなんて想像するだけで寂しいよ。
不安で胸が張り裂けそう。
さっきのは間違いだよね?本心なんかじゃないよね?
「ああ、いやそんなつもりはないけど」
すぐに否定してくれたけれど、まだ安心できない。
「本当に?出ていかない?」
「うん」